未来を賭ける?ラオス・中国鉄道

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  • 投稿カテゴリー:ラオス
  • 投稿の最終変更日:2022-06-18

2021年12月3日、ラオス・中国鉄道が開通しました。ラオスの首都ヴィエンチャンから中国の雲南省昆明までつながっており、ラオス国内の区間は国境の町ボーデンまでの約422キロとなります。その約半分の200キロ弱の区間はトンネルの中となり、また167もの橋の上を走ります。最終的にはシンガポールまでつなげる構想があるといわれています。

 

この鉄道に関して、日本では「債務の罠」といわれる悲観的なニュースによる取り上げ方が目立ちますが、この鉄道はラオスの悲願であったことは間違いありません。ラオスは経済発展の遅れた内陸国であり、その交通インフラはこの国の発展スピードを他国に比べてさらに遅いものにしています。2000年代に入ったころからこの鉄道の構想は始まっており、2010年代に入り中国輸出入銀行からの融資をラオス国会が承認するに至りました。しかし、中国側のラオスに対する返済の能力に対する不安や中国の内部事情などにより、この計画は遅々として進みませんでした。この状況を一変させたのが中国の一帯一路構想になります。この構想が、中国側のこの鉄道計画に対する意志を後押しする形になったようです。

 

この鉄道総工費は約60億ドル、内40%がラオスと中国企業の共同運営会社による出資です。残り60%が中国輸出入銀行からの借り入れによるものとなるそうです。共同運営会社はラオス側30%、中国側70%の出資配分となり、ラオス側の30%のうちその約3分の2は中国輸出入銀行からの借り入れとのことです。このようにラオスの出資金は複雑になっています。要するに、ラオスは経済力に大きな不安を抱えながら、自国の成長のために大きな賭けをしていると言えると思います。この鉄道によってどこまで経済効果があるのか、つまりどれくら稼げるのか、そのことが今後のラオスを大きく左右するのでしょう。

 

観光業という視点から考えてみると、この鉄道がどれほどの観光客を運ぶことになるのか、まだその効果はわかりません。ただ、この国の交通インフラの悪さから、観光客の流動性が良くはなかったことが考えられます。飛び地のように広がるラオス国内各地へのアクセスが、特に主要都市間で良くなることは間違いありません。中国の観光投資も増える可能性は高いと思われます。

 

貿易という点では、ラオスは農業が主要産業であり、今後中国への農産物輸出は増える可能性があります。生野菜や果物の鉄道輸送は効率的です。取り組みはすでに始まっており、中国企業の農地開発や、国間の関税の緩和などがあげられます。隣国タイは中国への輸出には関心を持っており、鉄道がタイにつながることによる経済効果を期待しているといわれています。

 

鉄道開通によって、今後ラオスがどれほどの経済効果を生み出せるのかとても興味深いです。そして、中国とラオスの関係はどのようになっていくのでしょうか。ラオスの多くの若者が中国語を学んでいます。かつては日本語を学ぶ若者は多かったようです。多くの中国資本が今後ラオスにビジネスを育てていくのでしょうか。日本人は戦後多くの出資を欧米から受けました。日本では英語教育は必修です。いずれにせよ、ラオスは債務と向き合い、その後の国の発展に力を尽くしていかなければなりません。ラオスには優秀な若者がたくさんいますが、彼らの能力が幸せな国づくりにつながってほしいと願っています。

ラオス・中国鉄道