どうしてコットンは安いのか(3)

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  • 投稿カテゴリー:コットン
  • 投稿の最終変更日:2021-11-01

綿花の歴史を見てみると、もともとはパキスタン、インド地方から発生したらしいのですが、現在につながる綿花の歴史は17世紀にイギリスがインド綿布を輸入したころから始まるようです。やがてはイギリス国内で綿布に対する大きな需要が発生すると、イギリスはそれを機に工業化の時代に入ります。

 

その需要に応じるように、インドのみならずアメリカ南部でも大量の綿花が生産されるようになります。南部地方において生産された綿花はイギリスに向け輸出され大きな経済効果をもたらしましたが、その生産には黒人奴隷が使われていました。

 

この黒人奴隷制度が争点となって勃発したのが、アメリカ南北戦争になります。自国の工業化の促進と保護貿易を唱えアメリカのイギリスからの自立を目指す北部、奴隷を使って綿花を大量生産しイギリスとの自由貿易を維持したい南部の間で起こった戦争です。その最中、1962年9月にリンカーンにより発せられたのが奴隷解放宣言です。

 

南北戦争は南部の降参により幕を閉じ、奴隷解放やイギリスとの貿易の減少から綿花産業は衰退します。そしてその綿花供給元は西アフリカや中国、そしてインドに移りました。アメリカ国内において大量に生産されていた綿花は、奴隷解放によってそれまでの生産ができなくなっていったわけですが、その人力不足を補うように機械の発展や農薬の開発が進んでいくことになります。

 

そして現在、コットンベルトと呼ばれる大きな綿花生産地域が存在し、アメリカは世界3位の綿花輸出国となっています。アメリカ綿花産業の発展の裏には、奴隷制度の元でイギリスとの貿易によって発展した産業の歴史、科学と技術の発展にもともなって築かれた利権、そして政治の世界で行われるロビー活動が複雑に絡みあっているのかもしれません。その上に綿花の補助金というものが成り立っていると思われます。